スペインの住宅・建築の瓦・屋根
愛着を込めて手入れをしながら、次の世代へと伝えて行くこと
上記朱書きの表題こそ、スペイン瓦を見た人、スペイン瓦の下で暮らす人の心に響く秘訣かもしれません。
スペインでは、建築材料としての瓦の地位が日本よりも格段に高く、住宅はもちろん、高層住宅や公共建築物など、非常に広範囲に利用されています。
スペインのお住まいの特徴は、以下のとおりです。
- かつてイベリア半島を支配したイスラム文化が融合し、見事に調和した文化
- 愛着を込めて手入れをしながら次の世代へ伝えて行くこと
- 建築物を長い期間にわたって利用し続けること
- その結果、古いものが良いと言える建物が多数存在すること
スペインの街並み
このページではスペイン瓦のルーツを探るべく、戦前に施工されたような歴史のある建造物を多く掲載しています。
現代のスペイン瓦の製品については、施工例(いままでの実績)でご覧ください。
このページで掲載している建築物の特徴は以下のとおりです。
- 屋根の瓦も差し替え、葺き替えなどのリフォームを繰り返し、古い瓦を見える部分に用いる等の工夫をしていること
- 上記ほか様々な理由により、各年代及び色の瓦が1つの屋根を形成し、色鮮やかな屋根を作り上げていること
- 100年以上経過している建造物が多く見られること(特にトレド)
- 外壁の漆喰は毎年塗り替えているものがあり、非常に手入れが行き届いていること
【撮影地】 ミハス/マラガ/トレド/アリカンテ
ミハスに於いて
アンダルシア州マラガ県。コスタ・デル・ソル(太陽の海岸)の西海岸に位置し、海岸道路から8キロメートルほど入った山の中腹にある村。
アンダルシア地方に位置し、白い壁とスペイン瓦の屋根で有名。ジブラルタル海峡まで100余km。
【白い壁とスペイン瓦】
[撮影対象]画面右側の住宅
[特徴]
・時間の経過と繰り返されたリフォームにより、紅葉色に変化した瓦屋根。
・瓦屋根と調和する白い外壁。
【ベランダの屋根に使用】
[撮影対象]ベランダ及び居室部分の屋根
[特徴]
・近距離撮影のため1枚1枚の色調がよくわかる。
・ベランダ上の屋根にスペイン瓦を使用。
・時間の経過と繰り返されたリフォームにより、紅葉色に変化した瓦屋根。
・瓦屋根と調和する白い外壁 。
【様々な色調のスペイン瓦】
[撮影対象]画面に広がる瓦屋根
[特徴]
・建てた年代や使用する瓦の違いにより屋根の色がそれぞれ異なり、全体が調和のとれた景観を。
・ベランダの笠木も瓦を使用。
・時間の経過と繰り返されたリフォームにより、紅葉色に変化した瓦屋根。
・瓦屋根と調和する白い外壁 。
【現代の製品(左)とリフォーム後(右)】
[撮影対象]左右2棟の住宅
[特徴]
・左側の住宅は建てた時期が比較的新しく、現代の製品を使用。現代の製品には比較的穏やかな色が多い。 また外壁を屋根の上まで立ち上げ、漆喰仕上げ。
・右側の住宅は、時間の経過と繰り返されたリフォームにより、瓦屋根が紅葉色に変化。
・瓦屋根と調和する白い外壁 。
【オレンジ色のスペイン瓦(素焼き)】
[撮影対象]手前住宅屋根
[特徴]
・オレンジ色(素焼き)の瓦屋根。日本では建て替えの時期でも、ミハスの街の中では比較的新しい範疇。
・屋根の最上部、日本では棟瓦を施工しますが、スペインでは漆喰仕上げ。軒先も瓦の隙間を漆喰処理。
・瓦屋根と調和する白い外壁 。
【窓上の屋根に利用】
[撮影対象]窓上の小さな瓦屋根
[特徴]
・窓上の小さな屋根に瓦を使用。日本では板金処理をする場合が多い。
・屋根の最上部は葺止めとして瓦を施工せず壁の中に瓦を塗こんでいる。
・リフォーム(瓦の差し替え)をした箇所がよくわかるケース。
・中央部きれいなオレンジ色の2枚は最近差し替えた部分。
・瓦屋根と調和する白い外壁。
【魅せるために、壁の中に塗り込んだ瓦】
[撮影対象]右側住宅
[特徴]
・下野の屋根の最上部は葺止めとして瓦を施工せず、壁の中に瓦を塗こんでいる。
・時間の経過と繰り返されたリフォームにより、瓦屋根が紅葉色に変化。
・瓦屋根と調和する白い外壁。
・下野の屋根の最上部は葺止めとして瓦を施工せず、壁の中に瓦を塗こんでいる。
【白っぽい色を基調としたスペイン瓦】
[撮影対象]中央の住宅屋根
[特徴]
・全体的に白っぽい色を基調としたスペイン瓦の屋根。スペインには工場での焼成時に、白く仕上がる粘土と赤く仕上がる粘土の2種類が存在。
・時間の経過と繰り返されたリフォームにより、瓦屋根が紅葉色に変化。
・瓦屋根と調和する白い外壁。
【現代のスペイン瓦(素焼き・左)】
[撮影対象]左側住宅オレンジ色(素焼き)瓦屋根住宅
[特徴]
・ミハスでは比較的新しい住宅。素焼きの瓦(現代の製品を使用)が引き立つ。
・瓦屋根と調和する白い外壁 。
・右側の住宅では、時間の経過と繰り返されたリフォームにより、瓦屋根が紅葉色に変化。
・スペインの住宅では、この住宅のように煙突のある家が多く、煙突用の瓦が存在する。
【緩勾配に用いたスペイン瓦】
[撮影対象]塀奥の住宅
[特徴]
・緩勾配(3寸程度)の屋根に使用。スペインではよく見られる。
・2階の様に、ヨーロッパではアーチ型の窓はよく見られるが、スペインではイスラムの影響でもっと装飾性に富んだ馬蹄形のものも見かける。
・塀の笠木にスペイン瓦を使用。
・時間の経過と繰り返されたリフォームにより、瓦屋根が紅葉色に変化。
・瓦屋根と調和する白い外壁。
【紅葉色に仕上がった屋根】
[撮影対象]紅葉色に仕上がった瓦屋根
[特徴]
・時間の経過と繰り返されたリフォームにより、瓦屋根が紅葉色に変化。
・彫りの深いスペイン瓦の特徴がよく表れている。
・煙突の屋根に瓦を使用。
・手前の塀にも瓦を使用。
【中間色(左)と濃い色(右)の仕上り】
[撮影対象]異なった仕上がりを見せる右側屋根と左側屋根
[特徴]
・1件の家にもかかわらず異なった仕上がりを見せる右側屋根と左側屋根。施工した年代によって異なる。
・左側屋根の仕上がりは、現代のスペインメーカーの製品にも存在する。
・時間の経過と繰り返されたリフォームにより、瓦屋根が紅葉色に変化。
・瓦屋根と調和する白い外壁。
【日陰の部分(左)と日向の部分(右)】
[撮影対象]手前住宅屋根4面
[特徴]
・日陰部分(右下)と日向部分(左上)で色の異なるスペイン瓦。同様に、現代の製品においても日差しの違いによって見える色は異なる。
・増築等を繰り返すことにより、屋根の形も複雑に。
・時間の経過と繰り返されたリフォームにより、瓦屋根が紅葉色に変化。
・瓦屋根と調和する白い外壁。
【見える部分に古瓦を使用】
[撮影対象]手前瓦屋根
[特徴]
・リフォーム(葺き替え)の様子がよく分かる写真。
・上丸は主に古い瓦を用い、下丸は現代の製品を使用。古い瓦を見せるために下丸のみ新しい瓦を用いたと思われる。古いものをいいと思う精神がよく現れる。
・3つの棟の交点にはネギ坊主の形をした装飾瓦が施工されている。スペインではこうした装飾瓦が使用されることがある。
・時間の経過と繰り返されたリフォームにより、瓦屋根が紅葉色に変化。
【白っぽい色を基調としたスペイン瓦】
[撮影対象]手前住宅
[特徴]
・時間の経過と繰り返されたリフォームにより、瓦屋根が紅葉色に変化 (上空から)。
・煙突の屋根には瓦を使用。
・瓦屋根と調和する白い外壁。
【ホテル(手前・左)とタウンハウス群(奥)】
[撮影対象]ホテル(手前)とタウンハウス群(奥)
[特徴]
・このホテルのように、スペインではある程度の高さの建築物でも屋根材として瓦を用いることが多い。
・日本と同程度の床面積のタウンハウス群。瓦を用いて外壁を立ち上げ、漆喰にて仕上げている。
マラガに於いて
アンダルシア州マラガ県の県都。人口は56万人で、スペイン第6位。
地中海に面し、リゾート地コスタ・デル・ソルの中心地。画家のピカソの出身地としても有名。
【数世紀の歴史を誇る教会の瓦屋根】
[撮影対象]右奥の教会
[特徴]
・教会の歴史は数世紀。その間瓦が風雨を凌ぎ、スペイン瓦の耐久性を物語る。
・棟のみ青の瓦と白の瓦で施工。スペインではこうしたカラフルな陶器瓦もよく使用される。
・遠景ながら、混ぜ葺きのように見えるのがよくわかる。
【あまり変色しない現代のスペイン瓦】
[撮影対象]画面中央の住宅
[特徴]
・変色しない現代のスペイン瓦。周辺の住宅も含め、現代の製品はほとんど変色しません。
・壁の白さとのマッチングが見事。
【スペイン瓦の特徴は彫りの深さ】
[撮影対象]中央の住宅
[特徴]
・スペイン瓦の特徴はダイナミックな彫りの深さ。立体的なフォルムが屋根を引き立てる。
・屋根の端部は外壁を立ち上げて漆喰仕上げ。
・この仕上がりが混ぜ葺きのルーツ。
【アパートでの使用例】
[撮影対象]画面中央のアパート
[特徴]
・スペインではアパートや公共建築物のような大規模な建築物でも瓦を屋根材として使用することが多い。
・スペイン瓦の屋根が黄色の外壁とも色がよく合う。
トレドに於いて
カスティーリャ・ラ・マンチャ州の州都で、トレド県(人口約60万人)の県都。
マドリードから南に71kmの距離で、三方をタホ川に面する。
長い歴史を誇り、中世の面影を残す町並みが有名で、実際中世に建てられた住宅も多い。
【上段と下段で色の異なる屋根】
[撮影対象]画面右側建物
[特徴]
・上段屋根と下段屋根で色調が相違。一般的に下段の屋根は傷みやすく、リフォームとして吹き替えたと思われる。
・中世以前に作られた町のため、土地が狭く道に沿って屋根が切り取られる。こうした複雑な形状は雨漏りの原因になりやすい。
【入母屋での施工】
[撮影対象]右奥の住宅
[特徴]
・スペインにも入母屋の屋根は散見されるが、日本のお寺のような大規模な屋根ではあまり見られない。
・日差しが強いと、日差しが弱い日よりも瓦の色が全体的に白っぽく見える。勾配が緩やかな屋根の場合は特に顕著。
【強い日差しにより白色化する瓦】
[撮影対象]手前三角形状の屋根
[特徴]
・強い日差しで瓦が白っぽく見えている。サンプルよりも施工後は一般的に白っぽく見える傾向がある。
・スペインでは棟は漆喰もしくはモルタルで塗り固めるのが通例。
【リフォーム間近の屋根】
[撮影対象]targetArea
[特徴]
・瓦桟を用いない工法で施工したため瓦がずれ始めているが、 こうした建物もリフォームを繰り返して維持。
・様々な色の製品が一つの屋根として調和。
【ほとんど灰色に近い仕上がり】
[撮影対象]画像中央の屋根
[特徴]
・カラフルな色が一般的なスペインの屋根にも、このような灰色に近い色をした屋根も存在。これは、長い歴史を経た結果の産物なるも、現在のスペインメーカーでは、これに近い製品も生産しており、ご紹介まで。
【6列ごとに施される漆喰】
[撮影対象]写真中央の住宅
[特徴]
・6列ごとに瓦を漆喰で塗り固めるリフォーム。スペインでも珍しい例で山の部分に限定している事に注目。
・雨水が流れる部分の漆喰は厳禁。雨漏りの原因。
【黄色の壁とのマッチング】
[撮影対象]画面全体
[特徴]
・瓦屋根が黄色い外壁と調和。一般的にはスペインでは白い外壁が多いけれど、黄色とも相性がいい。
・中央には屋根が3面あるが、それぞれが色合いが異なる。勾配や距離も関係。
アリカンテに於いて
バレンシア州アリカンテ県の県都。人口は約32万人。
温暖な気候が続くため、保養地、海水浴場として多くの観光客を集める。
【素焼きの瓦を使用するタウンハウス】
[撮影対象]画面右下のタウンハウス
[特徴]
・新築後間もないタウンハウス。素焼きの瓦を使用。現代の製品はほとんど色が変わらない。
・撮影地アリカンテでは新築住宅ブームがあり、タウンハウスの建設が多い。
・煙突の屋根に瓦を使用
【手前と奥のタウンハウス群】
[撮影対象]手前と奥に位置する2種類のタウンハウス
[特徴]
・手前、奥の新築タウンハウスは、共に素焼きのスペイン瓦を使用するも、手前の製品は色が濃い。
・手前のタウンハウスはトップライトを使用するものと使用しないものがある。
【外壁にへーベル類を使用した住宅】
[撮影対象]画面中央の新築住宅
[特徴]
・へーベル類の外壁ともバランスがとれている。
・当社がご案内するTB12と同様の製品で施工する新築住宅。
・1階屋根と2階屋根は向きが異なり、2階屋根は斜め左から、1階屋根は正面からの撮影。見る角度により違う瓦を違ったように見える。これもスペイン産の瓦の特徴のひとつ。
【建売住宅での使用例】
[撮影対象]画面中央の建売住宅
[特徴]
・新築の建売住宅でのスペイン瓦の使用。
・素焼き系の瓦にコケが生えたように見せるべく黒い色を焼き付けてある。当社にても提供可能商品。
・煉瓦の外壁との相性もいい。
【海岸沿いの造成地のタウンハウス】
[撮影対象]画面中央の新築タウンハウス
[特徴]
・当該タウンハウスが立地するのは海岸のすぐそばの分譲地。
・塩害にもきちんと対応できている証。
【坪面積の小さなタウンハウス】
[撮影対象]画面中央のタウンハウス
[特徴]
・アリカンテは海沿いのリゾート地のため、このような小規模なタウンハウスが多い。
・リゾートマンションの1種。
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